政府、全国初の先制対応地域指定
研究開発、雇用安定など今後2年間重点支援へ…地域経済回復に“青信号”

韓国・麗水市が「産業危機先制対応地域」に指定された。地域産業の危機に対してこうした形で指定されるのは、全国で初めての事例となる。

麗水市によると、産業通商資源部(産業部)は先月30日、産業危機対応審議委員会(産業通商資源部長官主宰)を開催し、麗水市を先制対応地域として正式に決定した。

これにより、緊急経営安定資金や地方投資促進補助金の優遇措置に加え、麗水地域の協力企業や小規模事業者に対する政策金融の支援が強化される。

また、政策金融機関は、協力企業および小規模事業者に対して返済期限の延長や返済猶予を支援するほか、信用保証基金(信保)や技術保証基金(技保)も、協力企業向けの優遇保証プログラムを新たに展開する予定である。特に、政策金融機関が積極的に支援を行えるよう、故意や重大な過失がない場合には、担当者の責任を免除する方針も打ち出されている。

このほかにも、研究開発や経営コンサルティング、雇用の安定といった産業危機の克服に必要な各種支援事業について、政府は2026年以降の予算に積極的に反映させていく方針だ。

またこれとは別に、企業から提出された法制度の改善など16件の主要な提案事項についても、全羅南道および中央省庁との綿密な協議が進められている。

こうした中、全羅南道は「麗水地域経済の深刻な悪化が懸念される」とする麗水市の「先制対応地域指定申請」に基づき、今年3月13日に産業部へ正式な申請書を提出。産業部は3月24日に現地調査を実施し、関係省庁や自治体との実務協議、4月30日の産業危機対応審議委員会での審議を経て、指定を最終決定した。

麗水市は、今回の先制対応地域の指定により、国際的な景気低迷やグローバルな供給過剰の影響で苦境にある石油化学産業が再び活力を取り戻し、地域社会における雇用の安定にも大きく貢献するものと期待している。

市は今後、政府の支援を積極的に活用し、石油化学産業の技術競争力の強化やインフラの整備を推進するほか、長期的には地域経済の多角化を目指して多方面からの取り組みを続けていく計画だ。

チョン・ギミョン麗水市長は、「今回の政府指定を心から歓迎し、深く感謝申し上げます」と述べたうえで、「政府の積極的な支援を土台に、麗水の石油化学産業の競争力をさらに強化し、停滞する地域経済に前向きなエネルギーを吹き込めるよう最善を尽くしたい」と強調した。

さらに、「今回の産業危機先制対応地域の指定を、地域経済の困難を乗り越え、新たな成長エンジンを確保するための重要な足がかりとしたい」と付け加えた。